無声映画音楽にギター??

無声映画全盛の時代、音楽的には歌舞伎の下座音楽の影響が色濃い邦画に対して、洋画は使用曲の制限が無く、比較的何を用いてもよかったため、楽士達はクラシックの名曲を演奏したこともあったようです。現代の私もそれに倣って既成のクラシック曲や個々の作品を念頭に作った自分の曲を用いるようになりました。こうして私は楽団で作曲/編曲/指揮/三味線/ギターの5役をこなすことになりました。リリアン・ギッシュに捧げた曲を始め今まで多くの曲を作っていますが、産みの苦しみに悩まされることはあっても作りたくないと思ったことは殆どありません。ただし、稀に映画作品自体が音楽を必要としていない物もあり、その場合は各場面に音楽を当てることが苦痛に感じることがあります。音楽も弁士も必要としない完結した無声映画作品。それに音楽や説明をつけるのは日本流の再現とはいえ制作者の意図を無視した行いですが、それでもやらなければならない事だったので出来るだけ映像を邪魔しないように音をつけた事があります。

余談ですが本来の日本の無声映画楽団にギターは含まれてないので、それ自体は私の創作の部分です。しかしトーキーが発表され無声映画自体が廃れた後も、地方都市ではまだまだトーキー設備の手配ができない映画館は多く、私の郷里、会津でも第二次世界大戦の頃まで楽士はいたそうで、その際イレギュラーな楽器で伴奏していた事を私の父が生前に証言しております。編成は三味線と笛の二人で、三味線の人はもう一つ楽器を兼任していたそうです。父も幼かったので残念ながら具体的な事は覚えていないのですが、ピアノではなかったと言っておりました。


また私の記憶に残っている1970~1980年代の時代劇ではギターがBGMに使われている事も大変多く、案外相性が良いと思っておりました。あと現実的な話でピアノが使用できない場所などもあり、その際はギターは伴奏楽器として威力を発揮しますし、ソロ楽器や打楽器としても使えるため効果的だと考えております。特に関東流が得意とする泣きのシーンでの効果は絶大です。

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